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【2022-2023】NHK杯フィギュア/Day2ー2~フリー編

フィギュアスケートグランプリ大会NHK杯2022の2日目。決着のフリー、生観戦の模様をレポいたします!

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製氷タイム

男子シングルの公式練習が終わり、リンクは製氷タイムへと入ります。

私たちはいっせいにロビーへと場所を移し、昼食を頬張ったりお手洗いに並んだり、決して短くはないはずの休憩時間をあわただしく過ごすこととなります。

ファンファーレが鳴り響き、いよいよ勝敗を決する戦いの火ぶたが切って落とされます。

今日は11月19日土曜日。
昨日は若干目立った最上段やショートサイドの空席はもはやありません。

ペア

まずはペアのフリー。

個人的にりくりゅう組以外知っている名前がないため(てへぺろ)、ひととびに最終滑走へと進めてしまいましょう。

実は6分間練習で登場したときからすでに彼らはひと際素敵でした。誰がどこにいるかわからないリンク上でも存在感が抜群(地元びいきばかりではないと思われ)で、勝利を予感させるものがあったのです。

スタートから一気に加速し最初のツイストリフト。そして万雷の拍手喝采。発声が禁じられていなければ大声援が飛んでいたことでしょう。しっとりとした曲調とアスレチックな二人の動きが相乗効果を生み、華やかさが際立ちます。要素が次々と決まり、クライマックスの迫力満点のリフトで観客の歓喜とボルテージがMaxになったところでフィニッシュ。

得点は137.91点。

ショート、フリーともに別格の1位となります。

NHK杯で日本人のペアが優勝するのはこれが初めてとのこと。大変な功績を残されましたね。おめでとうこざいます!

女子シングル

真昼間から見るのがもったいない女子フリーの演技が贅沢にも始まります。

(女子フリーといえば終幕に用意される花形種目ですから夜のイメージが強)

渡辺倫果選手

前半GPには渡辺倫果選手が登場。
冒頭トリプルアクセル、見事着氷!大技を入れても崩れることなく、その後も次々とジャンプが決まります。途中トリプルフリップで着氷が乱れたところはあったものの、これは傑作の予感!・・・が、ラストのルッツが1回転に・・・。ん~・・・残念。でも観客をたっぷりと魅了する演技でした。

住吉りをん選手

後半GPに入り、ショート3位・住吉りをん選手がスターティングポーズをとります。

ジュニア時代から果敢にチャレンジを続けている冒頭の4回転トゥループ、成功ならず。それでも動揺することなく3回転ジャンプを飛びまくるメンタル・フィジカルの強さが華奢な体から凄まじいパワーで放出されてきます。素晴らしい!

得点は先日フランス杯で出した自己ベスト130点upには届かなかったものの、125.11。同じ転倒でも回転不足をとられた分だけ、4回転のポイントを落としたようです。次はガンバって!

坂本花織選手

さあ坂本花織選手。

6分間練習中、リンク上に落ちていた異物(虫?)を拾ったのでしょうか。いや~んと言いながらリンクサイドにはけてくる一面に客席からも笑い声が。緊迫の場面でも”らしさ”全開で、今日はやってくれる感がにじみ出ていました。

持ち前の高速助走から幅のあるジャンプが爽快に決まり続け、会場には期待が立ち込め始めます。これはノーミスかっ!?

・・・と!

最後のループを1回転で降りてきてしまいました。「あ~」私を含め観客が一瞬肩を落としますが、演技が終わったときには大拍手。

133.80点。

昨日の不調が嘘のように輝きを見せてくれた坂本選手でした。

キム・イェリム選手(韓国)

最終滑走、キム・イェリム選手(韓国)。

ジャッジ側に座る私の目の前で高身長のイェリム選手が両手を上げて飛ぶタノ・ルッツからの3-3コンビネーションはのけぞるくらいの迫力で、「今日は彼女の日かもしれない」空気が生まれます。そのままいくと思われたところ1度転倒はあったもののしっかりと持ち直し、フィニッシュ。132.27点はフリー2位ながらも、ショートのアドバンテージをもって見事優勝を飾りました。イェリム選手、おめでとうございます!

女子まとめ

できれば日の丸を中央に上げたいところでしたが、2位:坂本選手、3位:住吉選手・・・と、日本人が2人、台に乗ったのは嬉しい光景でした。フリー3位で最終結果5位まで追い上げてきた渡辺選手も含め、見ごたえ抜群の女子シングルでした。

アイスダンス

リンク上は、こちらも注目のアイスダンス、フリーダンス。

小松原組

前半GPには小松原組が登場します。

美里選手、髪を赤く染めて臨む『フィフス・エレメント』。

躍動感たっぷりに演じてくれた得点は、パーソナルベスト更新の97.65点!

ただ、3番滑走で登場して暫定1位となれなかったこともあってか、客席はやや落胆ムード。キス&クライの二人も表情曇りがちのように思えました。

演技は後半GPへと移ります。

村元・高橋組

第1滑走はかなだい組。

2007年世界選手権、東京体育館で高橋選手が演じたフリーと同じ編曲で始まる『オペラ座の怪人』。当時を知るファンにはたまらない珠玉のメロディに二人が渾身の演技を重ねていきます。

目立ったミスを犯すことなくフィニッシュすると会場は総立ちに!これは前日と同じように「観客の反応=ジャッジの評価」なのか?・・・不安になりながら得点を待つと、結果はそれを大きく下回る103.79。パーソナルベストにもシーズンベストにも届きません。演技後の高橋選手には反省のコメントもありましたから、有識者には頷ける結果だったんでしょうか。喜びに膨らんだ会場が萎む、あのいたたまれなさは実に切ないものです。

アイスダンスまとめ

リズムダンス上位のカップルが出てくると、私的に「何が違うかはわからないけど、確実に何かが違う」優美な鑑賞タイムがやってきます。そして違った分だけ違った得点が出る・・・。わからないけど、納得。そんな感じでアイスダンスの決着はつきました笑。

男子シングル

朝の10時からアリーナに箱詰めされ、とっぷりと夜のとばりが下りた19時30分。

今大会のフィナーレを飾る男子シングル/フリーがいよいよ始まります。

もし世界が平和で、某国の選手たちが会場入りしていれば、女子の段階から訪れていたかもしれないこの瞬間・・・。リンク上では凄まじいスピードと超人的な離れ業が繰り広げられていきます。

男子フリー、後半GP。

チャ・ジュンファ選手(韓国)

最初に登場するのはチャ・ジュンファ選手(韓国)。

午前中の痛すぎる曲かけ練習が脳裏をよぎります。

『007』、ミッション開始。

見るのが怖くて最悪の覚悟をしていたところ、冒頭の4回転サルコウ、鮮やか!続く4回転トゥ、美技!代名詞ルッツループの3-3、決まった!・・・ええーっ!!めちゃめちゃ絶好調じゃないですか!!

いい意味で期待を裏切られ見届ける中、後半のジャンプに若干のほころびが出たもののシビれるほどの名演を遂げたジュンファン選手。朝の姿は一体何だったんだろ。完全に欺かれた感はありますが、嬉しすぎる誤算で174.41点という高得点。持ち点的にはもっと叩き出せるイメージでしたから、ミスを差し引いても物足りなさは否めないものの、一気に表彰台の可能性が出てきました。

友野一希選手

ショート4位の友野一希選手が登場します。

『こうもり序曲』。

はつらつとしたオープニングメロディからいきなり4T-3T成功!観客を一気に乗せる快調な出だしです。

ショートで転倒のあった続く4回転サルコウは・・・うっ、2回転に。

友野選手はジュニアの時代から4回転⇒サルコウ派の印象でしたが、昨季に続き「サルコウ」<「トゥ」の構成に。続く4回転はトゥ、こちらはもったいない転倒。でも残念な思いはここまでです。得意のトリプルアクセルを含め続くジャンプは全て成功、軽快でリズミカルな音楽を精一杯有効に生かしながら志を成就させていきます。

音楽の鳴り終わりと共に会場は熱狂のるつぼ。手拍子打ちすぎて手のひらジンジンの私たちですが、友野選手がリンクからはけてもなお、拍手を止めることができません。

得点166.76点、この時点で1位となります。

アダム・シャオ・イム・ファ選手(フランス)

トップ3の登場、まずはアダム・シャオ・イム・ファ選手(フランス)。

フランス杯のフリーで草太選手を逆転したツワモノです。

独創的で凄みのある滑りは札幌でも健在、ミスも最小限にとどめたものの、ノーミスの先週からは15点以上もスコアを落としてしまい163.01点。暫定3位は、残る2人の実力を考えると表彰台は厳しい結果となりました。

宇野昌磨選手

コロナ禍のもと沈黙を余儀なくされた客席が叫びだしたい気持ちを思い思いのバナーに乗せて振る山場がやってきました。

ショート2位、宇野昌磨選手の登場です。

6分間練習―。決まったジャンプは数少なく、また、ジャンプの軌道に他の選手がいることが殊更に気になったように見受けられた世界王者は多くを確認すらできなかった様子にも思われ。ここで1回も決まらなかったジャンプが、本番で決まるなんてことが果たしてあるんだろうか(←逆説です。きっとあり得ないと思った)・・・。

それでも今季初生の『G線上』(コンペ版)を見られる嬉しさが勝った状態で、私はスターティングポーズの昌磨選手に見入っていました。

1小節目、うつむく。

2小節目、立ち上がる。

3小節目、蹴りだす。

4小節目、ズームアウト。

異例の速さで観客を引き込む昌磨選手の滑り。

第1要素/4ループ。決まる!

第2要素/4サルコウ。決まる!

驚きと感動が最高到達点で混ざり合う。

第3要素/4フリップ。2回転となる。

前半はうっとり系、後半は激情系。

4T単独決まる。4Tコンビネーションは2nd⇒2回転だけど、耐える。ラストの3A、オイラー+3F欠け。

それでも別次元の表現力で観客の興奮を駆り立てまくり、エンディングポーズへ。

この時点では本人がどう思っているかわからなかったけれども、立たずにはいられませんでした系のスタオベ。

Bravo!!!

得点は188.10点。稼ぎどころの2つが未完成だったので、しかたのない評価でしたが、私的には大満足の演技でした。

山本草太選手

さあ、最終滑走。ショート1位の山本草太選手。

『ピアノ協奏曲第2番/ラフマニノフ』。稀代の名曲でも、フィギュアではポピュラーな第1や第3ではなく、第2楽章からプログラムを始める選択に匠の技を感じ、一瞬で聞き入ってしまいます。

テンポ:Adagio sostenuto/音楽記号:con sord.

ゆっくりと。弱音器をつけて。

譜面の注釈とは裏腹な精悍かつ力強いスケーティングで滑りだす草太選手。

前日も、朝の公式練習も、そして6分間練習でもまるで危なげのなかった冒頭の4回転3本を揺るぎなく着氷してみせます。

負けてない、いける!

と、ところが、続くトリプルアクセル転倒。この1点に留めたかったのに、後半のトリプルアクセルでも転倒。それでもグランプリ初制覇への夢を乗せて、曲の世界観たっぷりに最後まで演じ切ります。

その気概にガッツリやられた私たちはエンディングポーズが待ちきれない思いで拍手を続けました。そして演技終了と共に総立ち―。

相手が昌磨くんでは、このプログラムをノーミスで終えてようやく一騎打ちに持ち込めたわけで・・・。優勝を明け渡してしまったことは明白、なおかつノーミスではなかった演技に、私は決意をもって立ちあがりました系のスタオベを送りました。

前回草太選手にスタオベを送ったのは、ケガ開け直後の2回転と3回転ばかりの演技に対してでした。あのときは、「戻ってきてくれてありがとう」という思いでしたが、今回も更に高いところに「戻ってきてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいでした。

得点は161.36点。総合順位2位と、こちらもグランプリファイナル出場の切符を手にしたのでした。

男子まとめ

男子は1、2フィニッシュで試合を終えました。

書き漏れましたが、イタリアのマッテオ・リッツォ選手が表彰台に乗るんじゃないかと思っていたので、予想がちょっと外れたのですけれども。

今回特筆すべきは、やはり何といっても昌磨選手の異次元さでした。

彼の滑りと音楽の融合は、ワールドワイドで高く称賛されまくっていますけれども、

経験の少ない選手だと音楽は単なるBGMに聞こえ、

一流の選手だと音楽を堪能に表現できる、

と私は常々思っています。

ところが昌磨選手の場合、一流のそれを遥かに凌ぎ、

音楽が彼の滑りを表現している、

そんな逆転現象に思えてなりません。

この領域に達している選手は、私の長いフィギュア観戦歴を遡っても思い当たる選手がほとんどいないんですよね。

(確かシニアにあがってからは)いまだメジャー大会でショート/フリー共にノーミスがないのも、好不調によって毎試合ジャンプの形が変わるのも、実にドラマチックで目が離せません。

彼につく評価は、高級魚につけられる「時価」の趣がありますよね。

今回2日間の生観戦、緊張と興奮と歓喜で白熱した時間を過ごすことができました。

選手のみなさん、ありがとうございました&お疲れ様でした!

次のコンペ、楽しみにしています。

2日目の結果

【男子フリー】

1.Shoma UNO JPN188.10
2.Junhwan CHA KOR174.41
3.Kazuki TOMONO JPN166.76
4.Adam SIAO HIM FA FRA163.01
5.Matteo RIZZO ITA162.19
6.Sota YAMAMOTO JPN161.36
7.Stephen GOGOLEV CAN152.01
8.Nika EGADZE GEO148.39
9.Gabriele FRANGIPANI ITA143.53
10.Maurizio ZANDRON AUT133.51
11.Conrad ORZEL CAN129.59
12.Tomoki HIWATASHI USA127.87

【女子フリー】

1.Kaori SAKAMOTO JPN133.80
2.Yelim KIM KOR132.27
3.Rinka WATANABE JPN129.71
4.Rion SUMIYOSHI JPN125.11
5.Audrey SHIN USA123.13
6.Niina PETROKINA EST121.48
7.Seoyeon JI KOR121.22
8.Amber GLENN USA117.32
9.Olga MIKUTINA AUT116.41
10.Seoyeong WI KOR115.68
11.Eva-Lotta KIIBUS EST113.81
12.Starr ANDREWS USA109.93

【ペアフリー】

1.Riku MIURA JPN137.91
Ryuichi KIHARA
2.Emily CHAN USA122.87
Spencer Akira HOWE
3.Brooke MCINTOSH CAN113.34
Benjamin MIMAR
4.Camille KOVALEV FRA106.65
Pavel KOVALEV
5.Irma CALDARA ITA105.28
Riccardo MAGLIO
6.Daria DANILOVA NED101.38
Michel TSIBA

【アイスダンスフリー】

1.Laurence FOURNIER BEAUDRY CAN124.75
Nikolaj SOERENSEN
2.Madison CHOCK USA124.13
Evan BATES
3.Allison REED LTU114.75
Saulius AMBRULEVICIUS
4.Caroline GREEN USA114.10
Michael PARSONS
5.Evgeniia LOPAREVA FRA111.79
Geoffrey BRISSAUD
6.Shiyue WANG CHN103.79
Xinyu LIU
7.Kana MURAMOTO JPN103.68
Daisuke TAKAHASHI
8.Yuka ORIHARA FIN101.98
Juho PIRINEN
9.Misato KOMATSUBARA JPN97.65
Tim KOLETO
10.Katarina WOLFKOSTIN USA83.07
Jeffrey CHEN

大会の詳しい結果は以下の公式サイトから!

フリー当日朝の公式練習の模様はこちら

前日のショートの模様はこちら

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