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【2009-2010】五輪前に一服しよう/日瑞仏恍惚PG対決(フィギュアスケート)

バンクーバー五輪を間近に控え、今日は緊張の糸を緩めてひと息つきましょう。
いずれも秀逸な男子シングル金メダル候補のプログラムを徹底比較・解説してみます。

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怪しいタイトルはさておいて

つまり、来月バンクーバーで金メダルを狙う三人の男達の素敵すぎるプログラム比べをしてみようという企画。

誠に勝手ながら、

  • 日本代表:高橋大輔
  • スイス代表:ステファン・ランビエール
  • フランス代表:ブライアン・ジュベール

の面々をチョイス。

オリンピック・シーズン、さすがに皆さん逸品を並べてきました。

日本代表:高橋大輔

ショートプログラム

ショートは『eye』
振り付け、宮本賢二氏。

「第一印象から決めてました」と宮本氏が惚れ込んだ曲。
演奏は世界のアコーディオン奏者、cobaさんです。TV「おしゃれ関係」の見せ場、ゲストが手紙の朗読に涙を流すシーンで流れるノスタルジックなメロディでお馴染みの方ですね。

ジャンプは、3F-3T3A3Lz
ステップは前半のジャンプが終わった後にストレート、後半にサーキュラーを踏みます。
「美」への追求心に長けた宮本氏の振り付けと大ちゃんの持つ色っぽさが、曲の持つ雰囲気に絡み合います。

最高点は、全てのエレメンツに加点がつき、8点台揃い踏みのPCSを叩き出したグランプリ・ファイナルでの89.95

今季ショートでは抜群の安定感を誇り、不安要素は一切見つかりません。

フリースケーティング

フリーはニーノ・ロータさんの『道』
振り付け、パスクァーレ・カメレンゴ氏。

『道』(La Strada)は50年ほど前のイタリア映画。貧乏な女道化師のお話のようです。

作曲したニーノ・ロータさんは『道』以外にも『ゴッドファーザー・愛のテーマ』などを手がけ、深く心に残る旋律を生み出すお方です。

滑り始めの、つまづいて頭をかく仕草に道化師の哀愁が込められていて、この一瞬で観客はその世界に引き込まれてしまいます。前半のサーキュラーステップはボードすれすれまで迫ってくる、観客や審判さんの興奮を大いに煽るもの。ジャグリングや話中でもキーワードとなる綱渡りが振り付けの中に出てきてストーリー性もあり。

4回転はバンクーバーでは冒頭に単独でひとつだけ入れてくる予定でしょうか。世界の4回転ジャンパーに太刀打ちするためには、3Aのコンビネーション(今季は2T?)と、プログラム後半へずらす1.1倍ポイントの単独の3Aの成功が不可欠です。
PCSは要素の出来によっては青天井かと。GPFで恐怖のTES53点台となってしまったときでさえ、82点が出るぐらいですから。

スイス代表:ステファン・ランビエール

ショートプログラム

『ウィリアム・テル』 by ロッシーニ。

もう、曲名聞いただけで見る前から格好いいことがわかる(笑)。彼にとっては三度目のオリンピック、満を持して(?)母国スイスの伝説の英雄を演じることになる訳です。

ウィリアム・テルは子供の頭にリンゴを置いて矢を放ったエピソードが有名ですが、ランビ様の衣装を見ると、同じ矢の名手でも、どちらかと言うと「ロビン・フット」を彷彿させるような・・・。あ、最近のラッセル・クロウじゃなくて、ケビン・コスナーの方ね。

ジャンプは2A4Tコンビネーション3F

コンビネーションはEuroでは不発だったので何申請かわかりませんが、後ろに付くのは2T? 3T?
ステップからの3回転は何故かフリップ。フリーを見るとルッツも綺麗に飛べているのでそちらにすればいいのに、と素人考えですが。お嫌いなのかしら。3Aは確か昔から苦手でしたよね・・・だけど2Aだと加点ついても3Aの半分にしかなりません

でもこのプログラムの見せ場は、ラストのストレートラインステップからフィニッシュにかけてです。ある一定以上の年齢の方には「おれたちひょうきん族」のOpeing Themeとしてお馴染みの軽快なメロディからストレートラインステップが始まります。躍動感のある素敵なステップ。観戦ではなく、観劇タイムとなります。

そして一気に難解なポジションの高速スピン。フィニッシュスタオベ。
世界トップレベルの選手としてはあるまじき2つのジャンプの取りこぼしがあったにも関わらず、ヨーロッパ選手権では77.75のハイスコア。得点源はなんといってもノーミスだったプルを越えてしまった40.75のセカンドマークです。

フリースケーティング

ランビくん、フリーは『椿姫』

ユーロを解説していた樋口豊先生が、「素敵」「美しい」を連発。先生は凄すぎる演技を目の当たりにすると、ボキャブラリーが激減するのがいいですね。

オペラ『椿姫』、作曲はヴェルディ。

美しい娼婦に恋をする青年の物語。最後は死に別れとなってしまう悲恋をランビくんが演じます。

ジャンプ構成は、4T更には4Tコンビネーションから攻め始め。フリーのアクセルもユーロのようにダブルのままかも知れないけど、最初の二つの大技が決まれば遜色なし。後半にも3-3が入りポイントUP。こちらも最後に盛り上がりを見せます。

有名な『乾杯の歌』、3/8拍子のワルツに乗せて、サーペンタイン・ステップ。そこから彼にしか出来ない恍惚のスピンへとなだれ込みます。優雅です、芸術です。

スケーティングスキルは、ランビ>プルだそうで。PCSも圧倒してますし。打倒プルの大本命ですね。ノーミス対決でガチンコで勝って欲しいです。

フランス代表:ブライアン・ジュベール

ショートプログラム

デンマークのパーカッション・デュオ、Safri Duoの『Rise』

彼はクラシックはあまり使いませんね。時代の最先端をいく自らの技術が映える、モダンな選曲が多いです。

ジャンプは男気たっぷりの4T-3T3A3Lz

現世の男子が成功し得る最高難度のジャンプが詰め込まれています。先輩達が築き上げた伝統を汚さぬよう、ショートにも4回転時代をよくぞここまで守り抜いてくれました。いつの間にか芸術点がグーンと出る男に成長したのですね(涙)。スピンも随分と研究したのでしょうか。今シーズンユーロではALLレベル4を獲得しました。三重丸っ。

いつも通りの4-3が間違いなく飛べれば、バンクーバーでもショート1位折り返しは堅いところでしょう。

フリースケーティング

Ronan Hardimanの『Ancient Land』

これを聞いて「あらっ」と思った方は、ソルトレイク五輪の頃からのフィギュアファンですね。

6.0採点方式最後となったオリンピックを、6.0の嵐で鮮やかに締めくくったKing of Winterヤグディンがエキシビションで使った別名『OVERCOME』。真っ黒なTと真っ黒なパンツで、スポットライトの灯りのみに照らされてこれを滑った姿を、NHKきっての詠み手・刈屋アナはこう表しました。

「衣装もいらない。音楽もいらない。ヤグディンがいればいい」

まさに魅せる境地に達した者だけが滑ることを許される楽曲であると私的にランク付け。

オリンピックを控え、ブライアンはRonan Hardimanさんを表敬訪問しております。この曲に込めた思い、ショートに引き続き見え隠れする師匠への思慕の念、そして何と言っても金メダルへの渇望がひしひしと伝わってきますよね。

振り付けはデンコワとスタビスキーですって。キスクラに同席していた恰幅のいい紳士がスタビスキーと知って・・・えっ、別人!?本人!!?????(だってスタビスキーと言えば、スケート界のディカプリオだった筈)

ま・・・まあ・・・まあね、それはさておいて。

ユーロでは4Tと4Sにチャレンジして、サルコウはダブルになってしまったけれども、オリンピックではクワド3つ行きますかねえ。クワド複数入れても、ブライアンは3A外しません、当然。しかも3T付きのコンビネーション。強っ。後半に入れる3Lzはユーロでは加点がついてコンビネーション並の高得点に。
この若さ、この筋肉。ジャンプを飛ばせたら、やはり彼が世界一でしょう。

洗練された名曲に、ブライアン自身の最強の演技が伴ったとき、『Ancient Land』はKing of Vancouver ブライアンの代名詞として生まれ変わるんじゃないかしらね。

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