高橋大輔の『道』を語る／振付師：パスカーレ・カメレンゴ氏インタビュー

ありきたりなプログラムは好きじゃない

2011年、Absolute Skatingに掲載された、カメレンゴ先生のインタビューです。
代表作『道』（高橋大輔選手／2010-2011シーズン）について、先生の食指が動く才能あるスケーターについても実名入りで語ってくれました。

Pasquale Camerlengo: “I don’t like normal programs”

November 13, 2011 By Reut Golinsky

（略）

A：一番最初に振り付けたプログラムを覚えていますか？

（自身が現役だった頃から振付師に与えられたプログラムを手直ししていたことや、引退してからは主にアイスダンスを、シングルではフランスの男子選手にも振り付けしていたエピソードをまずは語り）でも、シングルスケーターと大きな契約をしたのは、高橋大輔が初めてです。私が彼に振り付けしたプログラムを見て以来、たくさんの選手から依頼が来るようになりました。ジェレミー・アボット、アリッサ・シズニー、ミハル・ブレジナ、トマシュ・ベルネル･･･全てはあそこから始まりました。

A：続々と来始めた訳ですね！

有り難いことですね。特に大輔に関しては。大輔は何年もの間、ショートプログラムの振付師をどんどん換えていたんです。彼は新しいことにチャレンジしたり違う人と仕事をするのを好みますから。たくさんの振付師を経て、私のところに落ち着いてくれた。私達は既に五輪シーズン(ｿﾁのことだと思います)の音楽も考え始めているんです。これは凄く喜ばしいことですし、本当に誇りに思います。私の考えややり方を彼が気に入ってくれて嬉しいですね。

A：いつも違った振り付けをするので、毎年お願いしてくれるのかも知れませんね。色々なアイディアやスタイルを提供して。どのようにして閃くのですか。

自分自身スケーターとしてたくさんのことを学びながら成長して来ました。タンゴからロックンロール、ジャズに至るまで。フラメンコやクラシックダンスも練習しました。その全てのことから少しずつ得るものがあったのです。ですからスタイルを切り替えることは私にとって比較的簡単なのです。テクノ・モダンやクラシック、サウンドトラックの振り付けも出来ると思っています。(略)個人的には、プログラムにストーリーがあって、人々が泣いたり笑ったりするのが好きなんです。

A：大輔の「道」のように？

そうです。そう言えば大輔は最初、「こんなこと出来ません」と言ったんです。あの振付がやりすぎだと思ったんでしょうね。でも私は言いました、「君は芸術家なんだ。芸術家なら、完璧じゃなきゃ。何でもやってのけなきゃだめだろう」と。彼も、周りが「これは最高だ」とリアクションしてくれたのを見て、やってみようと自信を持ったんです。簡単なことです、彼は全てを兼ね備えている偉大な芸術家なのですから。学ぶことを決して辞めないし、いかなる難しいテーマに取り組んでもみんなを驚かせ続けるでしょう。大輔が私を選んでくれて本当にラッキーだったと私はいつも言っているのです。彼はスケーターとしてとても多才で、どんな注文でも叶えてくれます。もし自分のアイディアに自信が持てないときでも、彼の手にかかれば”うわぁ”という感じ、素晴らしいものにしてくれるんですよ。例えどんなものであっても。

A：あなたが振付を施す”理想的なスケーター”というのはどんな才能をもったスケーターですか

“理想的なスケーター”であるためには、まず素晴らしいスケーティングの技術を持っていることです。(略)ですからパーフェクトなスケーターになるには、芸術の知識があること、観察力があること、感受性が強いことが絶対条件です。大輔はこの全て持ち合わせています。ステファン・ランビエールもです。私はランビエールが大好きです、彼は本当にアーチストで、自分自身を創り上げることができるんです。(略)

A：他に一緒にやってみたいスケーターは居ますか？

もちろん。女子ではカロリーナ・コストナーと仕事をしてみたいですね。氷上の彼女はとても美しくて、スケーティングも上手です。それから、浅田真央がとても好きなんです。彼女は素晴らしい選手でありながら、まだ可能性を秘めています。男子では、言っていいのかな・・・羽生結弦がすごく好きです。彼は既に持ってますよね。スケーティングも良い、そして若くてまだまだ伸びしろが有ります。でもあまりこうして名前を出すのは嫌なんですよ。言葉にしてしまうと実現しなくなりそうだから。

A：じゃ、先生の方からオファーしてみたらどうですか？

嫌ですよ。絶対無理です･･･そういうこと出来るタイプじゃないんです。

（後略）

訳・まくりあ

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