世界一勝つのが難しい国内大会、全日本選手権。
バンクーバー五輪の出場権を懸けた、より熾烈な争いとなった今大会。女子シングルの模様を振り返ってみます。
- 日程:2009年12月25日~27日
- 会場:大阪府なみはやドーム
ショートプログラムの結果
お待ちかねで大緊張の全日本女子。
まずはショートプログラム。
日本中が固唾をのんで、拳を握って、見つめておりました。
結果は、
PL. | 選手名 | TSS | TES | PCS | SS | TR | PE | CH | IN | Deduction |
1 | 浅 田 真 央 | 69.12 | 36.84 | 32.28 | 8.20 | 7.80 | 8.15 | 8.10 | 8.10 | 0.00 |
2 | 中 野 友加里 | 68.90 | 38.70 | 30.20 | 7.60 | 7.35 | 7.70 | 7.45 | 7.65 | 0.00 |
3 | 安 藤 美 姫 | 68.68 | 36.80 | 31.88 | 8.00 | 7.65 | 8.05 | 7.95 | 8.20 | 0.00 |
4 | 鈴 木 明 子 | 67.84 | 37.80 | 30.04 | 7.50 | 7.25 | 7.65 | 7.45 | 7.70 | 0.00 |
5 | 村 上 佳菜子 | 60.28 | 33.80 | 26.48 | 6.70 | 6.40 | 6.65 | 6.60 | 6.75 | 0.00 |
6 | 村 主 章 枝 | 58.70 | 31.10 | 28.60 | 7.20 | 7.00 | 7.20 | 7.05 | 7.30 | 1.00 |
真央ちゃんが、2009国別対抗戦に引き続き、自信を持って3Aコンビネーションを飛んだことが何よりも特筆すべき点でした。上位4人、僅差ですね。
2位と4位、飛び石の二人が、静かに闘志メラメラです。
フリースケーティング/最終グループ
中野友加里選手
フリーの最終グループ、第一滑走はSP2位のゆかりんから。
ストラビンスキー『火の鳥』。
目の覚めるような発色のパンツスーツ。
最初コンビネーションを予定していたルッツが、バランス崩してシングルに。
その後のルッツを3連続コンビネーションにして意地を見せ、演技を完成させました。
126.83という高得点。自然と4年前の大激戦がフラッシュバックします。
安藤美姫選手
第二滑走は、SP3位の安藤さん。
『Roma』。
GPFで日本人選手最上位となり、既に五輪内定が出ている安藤さん。
とは言え、だからこそ表彰台を義務づけられたプレッシャーもあったでしょう。いささかか守りの演技となり、得点は平凡な116.76に終わってしまいました。
浅田真央選手
第三滑走、SP首位の真央ちゃん。
今期三度目の『鐘』。
スターティングポーズから別人のような形相にゾクゾクする。
淡々と抑揚のない旋律からリズムを掴み取り、次々とジャンプを踏み切っては着氷する。
黒い手の平で顔を覆い隠しぐんぐん迫ってくるスパイラル、苦悩の表情を浮かべ描ききったストレートラインステップ。
そして突如現れた光に導かれるように終幕。
呆然となった真央ちゃんが、次の瞬間安堵の笑みを浮かべる。
やった、やり切った!
得点を促す拍手に見守られ、135.50が表示される。
ザンナ先生に祝福されながら、私には真央ちゃんの口が、こう動いたように見えた。
「出た・・・」(訳:3A認定された)
ホントだね。ホントだよ。やっと、だよ。
真央ちゃんですっかり昇天してしまいましたが、まだまだ戦いはこれからです。
村主章枝選手
第四滑走、すぐりん。
『スパルタクス』。
素敵な衣装で出だしから引きつけてくれる演技は健在なのですが、いかんせんジャンプが決まりません。
予定通りに飛び、加点となったジャンプは2つしか入りませんでした・・・。
フリー首位となった昨年が遠い過去のように思えてしまいます。
思えばシーズン前、新たにミーシン先生とのタッグを表明。キスクラにいるパシュケビッチ先生はアシスタントコーチなのかと思っていたら!・・・ミーシン先生とはとっくに師弟関係は解消されていました。
プルの復帰でミーシン先生が多忙になってしまったことが原因らしいです。
すぐりんのオフィシャルでは未だにコーチがモロゾフさんになってしまっているし。
今期は環境に恵まれなかったのですね
ぎりぎり百点越えの102.59。
鈴木明子選手
選考争いという意味では、最も注目の集まる、第五滑走、鈴木明子さん。
『ウエストサイド・ストーリー』。
伸び伸びと朗らかに、曲のイメージそのままに。
途中なんでもないところで転倒してしまいますが、ルッツでアテンションマークが付いた以外は完璧に全てのジャンプを決めてしまいました。
これは圧巻でした。
当然、スタオベ128.06で総合195.50。
同じく素晴らしかったゆかりんとの、ショートでの僅差アゲインストを、これまた僅差のアドバンテージにひっくり返してしまいました。
いや~・・・ドラマですよね・・・
技術点な優劣は私にはわかりませんが、鈴木さんの、当たり前のことを当たり前と思わず、全てのことに感謝し素直に表現できる、その好感の持てるキャラクターが、全ての運を呼び寄せたのではないだろうか、と個人的には思いました。
村上佳菜子選手
選考会のピリピリ感に目をくりくりとさせてひとり天真爛漫だった村上佳菜子ちゃん・15歳が最終滑走の大役を担います。
熾烈を極める戦いと憧れのお姉さまたちの華麗な滑りを応援していた一観客の立場のままリンクに出てしまい、慌てて本業に戻る初々しさに会場から笑いの声が起こります。
『白鳥の湖』。
最初のジャンプこそ1回転で降りてしまって切り替えの難しさをかいま見せたものの、そこから猛然と一流選手としての資質を見せつけます。
7点台のPCSを叩きだし、安藤さんとは僅差の116.33。
五輪出場権の決着にお腹一杯だった観客に、バンクーバーの後も日本には楽しみな4年間が続くんだという約束をプレゼントしてくれた佳菜子ちゃんなのでした。
フリーの結果
PL. | 選手名 | TSS | TES | PCS | SS | TR | PE | CH | IN | Deduction |
1 | 浅 田 真 央 | 135.50 | 67.90 | 67.60 | 8.55 | 8.25 | 8.55 | 8.45 | 8.45 | 0.00 |
2 | 鈴 木 明 子 | 128.06 | 65.78 | 63.28 | 7.85 | 7.65 | 7.95 | 7.95 | 8.15 | 1.00 |
3 | 中 野 友加里 | 126.83 | 63.55 | 63.28 | 7.90 | 7.70 | 7.95 | 7.90 | 8.10 | 0.00 |
4 | 安 藤 美 姫 | 116.76 | 52.12 | 64.64 | 8.15 | 7.80 | 8.10 | 8.10 | 8.25 | 0.00 |
5 | 村 上 佳菜子 | 116.33 | 59.77 | 56.56 | 7.30 | 6.80 | 7.10 | 7.05 | 7.10 | 0.00 |
最終結果はこちら。
PL | 選手名 | 所属 | SP | FS | Points |
1. | 浅 田 真 央 | 中京大学 | 1 | 1 | 204.62 |
2. | 鈴 木 明 子 | 邦和スポーツランド | 4 | 2 | 195.90 |
3. | 中 野 友加里 | プリンスホテル | 2 | 3 | 195.73 |
4. | 安 藤 美 姫 | トヨタ自動車 | 3 | 4 | 185.44 |
5. | 村 上 佳菜子 | グランプリ東海クラブ | 5 | 5 | 176.61 |
6. | 今 井 遥 | 日本橋女学館 | 7 | 6 | 166.16 |
7. | 村 主 章 枝 | AK | 6 | 9 | 161.29 |
8. | 後 藤 亜由美 | 愛み大瑞穂高 | 8 | 8 | 159.15 |
9. | 武 田 奈 也 | 早稲田大学 | 12 | 7 | 158.81 |
10. | 藤 沢 亮 子 | 飯塚フィギュアクラブ | 9 | 11 | 157.88 |
代表選考、決まる
この結果を踏まえ、
- オリンピック ⇒ 浅田真央、鈴木明子、安藤美姫
- 四大陸選手権 ⇒ 浅田真央、鈴木明子、今井遥(中野さんに代わって)
- 世界選手権 ⇒ 浅田真央、安藤美姫、中野友加里
と、派遣選手が決まりました。
みなさま、おめでとうございます!
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