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【2009-2010】バンクーバー五輪フィギュア男子シングル/高橋大輔銅メダル

2010バンクーバー五輪フィギュアスケート男子シングル。
高橋大輔選手が日本男子として初めてメダリストとなったシビれる試合を、情感たっぷりに振り返ります!

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祝・高橋大輔選手、銅メダル獲得!!

フィギュアスケート男子シングル。

大ちゃん、

銅メダル
おめでとーーー

織田くん7位、小塚くん8位、全員が入賞という輝かしい成績でした

観客を惹きつける高橋選手の演技(提供:アフロスポーツ)
引用元:日本オリンピック委員会
チャプリン映画のメドレーに乗って演技する織田選手(提供:フォートキシモト)
引用元:日本オリンピック委員会
自己ベストの演技で、何度もガッツポーズ。(提供:共同通信)
引用元:日本オリンピック委員会

正直、1月のヨーロッパ選手権を観た時点で、私のバンクーバーは半分くらい終わってました。
・・・と、思ってました。

4回転か、安全策か―。

この4年間、論争を続けてきた答えのない問いかけが、いかに無意味なことであるかを全世界に証明したヨーロッパ選手権での衝撃的な結果。

プルシェンコランビエールジュベール

欧州のレベルは遙か遠くかけ離れていて、4回転をことごとく決め台に乗ったこの三人が、そのまま五輪の台にスライドする近未来が目の前にちらついてしかたがありませんでした。

そう、つい3日前までは・・・。

ショートプログラム

さて、いざバンクーバー。

SPを首位で折り返したのは、予想通り実力通りのプルシェンコ選手でした。
第二グループから飛び出した90.85という高得点でありました。
彼にジャッジが寄せる信頼は4年前と何ら変わりなく揺るぎのないものであるはず。なのにプルシェンコ1人の大技、SPでの4-3コンビネーションは、復帰3戦目となったここバンクーバーの地でも一向に他を引き離す切り札とは成り得ていないという現実が、今回の意外な結末の予兆でもあったような気がします。

第四グループで出てきた19番滑走の高橋大輔選手が、プルに0.6と肉薄する90.25の演技。もちろん自己ベスト。
本田くんが、
「流れが止まった
と、身内らしい辛口コメントで不安を煽った(笑)冒頭の3F-3Tも、しっかりと加点がついていました。

情熱的な演技を見せる橋大輔選手(提供:共同通信)
引用元:日本オリンピック委員会

GPFで大ちゃんと仲良く世界歴代記録に並ぼうかというパーソナルベストを更新していた最終グループのライサチェク選手が更に上行く90.30を放出。

織田信成選手含め4位以下の選手もミスを最小限に抑えた素晴らしい演技をしながら、そこには5点以上のビハインド。上位三人は明らかに点の出方が違うな、という印象を万人が持ったに違いありません。

緊迫のショートプログラムで、ただ一人別世界を演じたランビエール選手。
観客をキラキラにときめかせてくれました。
母国の英雄、ウィリアム・テル。曲の解釈に9.15なんて言う、見たこともないような値を含む、全選手中No.1の構成点43.15を引き出しました。観客が受けた感銘が、そのまま得点に反映される・・・何という快感なのでしょう。

男子ショートプログラムの結果(上位10人)。

 Pl.  NameNationTSS
=
TES
+
PCS
+
SSTRPECHINDed.
1PLUSHENKO EvgeniRUS90.8551.1039.758.206.808.657.858.250.00
2LYSACEK EvanUSA90.3048.3042.008.207.958.608.508.750.00
3TAKAHASHI DaisukeJPN90.2548.9041.358.307.508.558.308.700.00
4ODA NobunariJPN84.8546.0038.858.007.158.007.807.900.00
5LAMBIEL StephaneSUI84.6341.4843.158.508.208.658.659.150.00
6WEIR JohnnyUSA82.1042.9039.207.907.457.907.808.150.00
7CHAN PatrickCAN81.1241.4240.708.307.858.008.258.301.00
8KOZUKA TakahikoJPN79.5942.1437.457.607.257.557.607.450.00
9BREZINA MichalCZE78.8042.5036.307.357.007.357.307.300.00
10TEN DenisKAZ76.2441.2435.007.206.557.106.907.250.00

フリーまで中1日。

選手達の周辺はさぞや騒がしかったことでしょうね。
大ちゃんは、実質ドローとなった他の二人、プル・ライサとプレス席で肩を並べていました。
眩しかった・・・。

驚くことに、私は全く緊張していませんでした。

全く・・・?

全くと言ったら嘘になるかな(笑)。
私はとにかく、五輪の舞台で極上の作品である『道』が観られるということ、世界中のみんなに観て貰えるということが、ただただ、楽しみで仕方有りませんでした。

勝負のフリースケーティング

フリーの最終グループは、

  • エヴァン・ライサチェク(USA)
  • 織田信成(JPN)
  • ステファン・ランビエール(SUI)
  • 高橋大輔(JPN)
  • ジョニー・ウィアー(USA)
  • エフゲニー・プルシェンコ(RUS)

の滑走順。

ライサがノーミスで伸び伸びと高得点を出し、ほぼメダルを手中に収めた段階で、大ちゃんの順番が回ってきました。

高橋大輔選手

大ちゃんはショートの後、ニュアンスを若干トーンダウンさせて周りをハラハラさせたけれども、4回転を飛ぶという闘志は微塵も衰えていませんでした。
しかしながら、回転不足の転倒。
僅差での戦いに、0.1点でも多く欲しかった筈の得点を約10点、まるまる失う形となりました。

そしてこの瞬間、悲願である金メダルと五輪での4回転成功という2つの希望、心の支えを完全に消失。まだ演技は始まったばかり。残り4分間をその状況の中で演じなければならなくなったのです。

だけど大ちゃんは諦めませんでした。

体を激しくリンクにぶつけた転倒から起きあがり、続くトリプルアクセル-ダブルトウループを笑顔で成功させたのです。

続くトリプル・ループは、ジャッジとちょうど「差し」となる向きで着氷、その完成度と喜びをストレートに伝える絶好のアピールタイム。

満場の観客を巻き込むサーキュラーステップは、ショートに続きレベル4を獲得。

4回転の精度が上がらない中、最も勝負を左右する後半のトリプルアクセルを綺麗にランディングした時から、涙で曇って演技がよく見えない状態に。大ちゃんもおそらくここで自分自身に及第点をつけたに違いありません。

それでもまだ残っているジャンプ2つを尚も成功させ、気持ちよくストレートラインステップに突入。

ラストのスピンでぐらりと来るあたり、もったいないけれども大ちゃんのご愛嬌、という感じでフィニッシュ。

目を閉じて両手を何度も空に突き上げるガッツポーズ。
これまでの苦労が全て報われた瞬間でした。

フィニッシュで、感極まりガッツポーズ(提供:共同通信)
引用元:日本オリンピック委員会

得点は意外と伸びず、156.98。
キスクラの大ちゃんは、それ故不安げでした。

技術点73.48は、クワドの転倒を差し引いても納得のいかない低さではありましたが、後々判ったルッツでのマイナスGOE。大ちゃんのルッツがロング・エッジだなんて、聞いてないよ~(。>0<。)。

ただ構成点84.50は誰よりも高く、更にはレベル4に加点2.2、計6.10という後半のトリプルジャンプ並の大技となったステップが世界に認められたことは何よりも嬉しいことでした。

この時点で2位。
残るジョニーはノーミスでも大ちゃんには届かないことはわかっていたので早くもメダルを確信。プルが上にくることもわかっていたので、それは銅だろうと確信。

エフゲニー・プルシェンコ選手

でもって最後に波乱が。

4回転はひとつでも勝てると”たか”をくくった最終滑走・プルが、ジャンプの正確性を欠き、ライサチェクに届かないという番狂わせが発生。

まさに「うさぎとかめ」状態で、プルはほぼ手中に収めていた金を逃す結末となりました。

あんなに4回転にこだわっていたのだから、公言通り2つ飛べば良かったのにねえ。飛べるんだし。

これはプルの作戦ミスか、はたまた北米の地で起きた採点の彩か謎ではありますが、3回転しか飛ばない回避派が五輪の金メダリストになるという前例を作ってしまったことだけは事実です。

これに関してはみなさん「けんけんがくがく」でしょうね。確かにライサの演技は他を圧倒していましたけども。

ストイコ氏は、「4回転飛ぶ勇気がないならいっそのこと3回転半も封印しろよ」と痛烈でした。

泣かない大ちゃんが泣いた日

「4回転しかない演技」にも「4回転だけない演技」にも魅力を感じない私にとっては、大ちゃんの演技が最も輝いて見えたのは言うまでもありません。

「国歌は流れなかったけど」(by 大ちゃん)、4回転に挑戦し、尚かつメダルも獲る、どちらも捨てずに両方叶えた大ちゃん、見事でした。

表彰台での涙。

ね~・・・貰いましたよね・・・

4回転を飛ぶ決意と同じ位強く、人前では泣かないと心に決めている大ちゃんですが、神様からの祝福には逆らえなかった感動的な光景でした。

表彰式(提供:共同通信)
引用元:日本オリンピック委員会

フリーの結果

  Pl.  NameNationTSS
=
TES
+
PCS
+
SSTRPECHINDed.
1LYSACEK EvanUSA167.3784.5782.808.207.958.508.358.400.00
2PLUSHENKO EvgeniRUS165.5182.7182.808.407.258.808.208.750.00
3LAMBIEL StephaneSUI162.0978.4983.608.308.058.308.458.700.00
4CHAN PatrickCAN160.3079.3082.008.357.958.208.258.251.00
5TAKAHASHI DaisukeJPN156.9873.4884.508.558.158.508.408.651.00
6WEIR JohnnyUSA156.7779.6777.107.707.457.807.757.850.00
7ODA NobunariJPN153.6979.6977.008.007.257.807.707.753.00
8KOZUKA TakahikoJPN151.6078.4074.207.607.057.557.507.401.00
9ABBOTT JeremyUSA149.5671.5679.007.907.807.807.958.051.00
10FERNANDEZ JavierESP137.9968.1970.806.906.457.307.157.601.00

最終結果

FPl.NameNationPointsSPFS
1LYSACEK EvanUSA257.6721
2PLUSHENKO EvgeniRUS256.3612
3TAKAHASHI DaisukeJPN247.2335
4LAMBIEL StephaneSUI246.7253
5CHAN PatrickCAN241.4274
6WEIR JohnnyUSA238.8766
7ODA NobunariJPN238.5447
8KOZUKA TakahikoJPN231.1988
9ABBOTT JeremyUSA218.96159
10BREZINA MichalCZE216.73911

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